条例は、自治体の区域(土地)単位で適用されます。よって、条例を制定するということは、その自治体の区域内だけ、ほかの自治体にはない規制が設けられることになります。
ですから、条例を制定する際には、「国全体としては、そのような規制は必要ないとされているものを、なぜ、この区域だけ必要なのか」という問いに対する答えが用意されていなければなりません。
その自治体独自のルールを設けること自体に、自治体の存在意義があるのだなどという理解は適切ではないことも確認しておきます。条例(を制定すること)は、自治体やその関係者の自己実現の手段ではありません。
自治体の区域については、市街地が隣の自治体と連坦している場合も少なくありません。歴史的な経緯で、地理的・自然環境的にみれば必ずしも合理的ではないと考えられる境界で画されている場合もあります。「私の生活圏は隣の市(県)です」という住民も比較的多く存在します。
ですから、法としての規制が必要な範囲と自治体の区域とが一致することは、稀であると考えるのが素直でしょう。反対にいえば、自治体(の区域)と法(条例)とを結びつける必要性を見出すことは、なかなか困難なはずです(もちろん、わざわざ見出す必要はありません)。
実際の条例は、一部の住民の要望に押される形で制定されたり、「うちのまちはこうありたい」というような理念的・政治的な事情で制定されたりすることが多いようです。
次回から、法的でない条例について、例を挙げながら、考えていきます。
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